横浜港運協会の賀詞交歓会が1月6日にロイヤルホールでおこなわれました。主催者あいさつに立った藤木幸夫会長は「今日は、お前は〇(賛成)か×(反対)かという話は無し」と、IRについて直接言及することはありませんでしたが「先祖に顔向けできる、将来の人に喜んでもらえる港湾建設をしていきたい」と、IR誘致ではない横浜港発展の抱負を語りました。
一方、来賓あいさつで登壇した林文子市長はIRには一切触れず、「港は現在明るいニュースに包まれております」と対照的。来賓あいさつには黒岩祐治神奈川県知事らも登壇しました。
あいさつや来賓紹介が済んだ後、林市長が退席すると、報道陣がカジノに対する考えを藤木会長に聞きました。「カジノ反対だよ。だんだんとあれ(IR)が悪いものだということが浸透してきているでしょ。死んでも反対するよ。先祖にちゃんと報告できるようにしたい」と反対の意思を貫く姿勢をみせました。IRを巡る汚職事件が広がっていることに「私たち(反対派)にとっては追い風でしょう。でも、あんなもの政治家ならみんなやっていることだから」とも。
昨年12月から横浜市がおこなっている住民説明会については、「役所の皆さんがかわいそうですよ。ダメなものはダメ。前例はいっぱいあって、(住民は)分かっている。だからどこを調べても反対という意見が出る。それ(住民の願い)とは違う説明会をやる。やりたくもない仕事をしているのは気の毒だね。そんなことやらせるのは一種の犯罪だよね」と苦悩する職員へ思いを寄せました。
「この正月で数えで90歳になった」という藤木会長。あいさつの中で「まず住民がいて、商売や経済関係を主体に建設したのが日本の港。そして住民が増えていったのが港町の特色。横浜(の港)をよくすれば中身(街)もよくなる」と、住民を大切にしながら創られてきた横浜の港と街を誇らしく語りました。
私たちは日々、何のために職務を遂行しているのか。私たちの仕事は誰のために存在するのか。パブリックコメントや世論調査でも多くの住民が「反対」の声を上げるIR誘致。住民を大切にする“まちづくり”を願う藤木会長のような住民の言葉はなぜ、林市長には届かないのでしょうか。