行政には公平性・公正性と、それを担保する「職員の政治的中立性」が求められます。したがって、憲法第21条は、すべての国民に「表現の自由」を保障しているものの、勤務時間内、勤務する行政区内、または庁舎・施設を利用した職員(現業を除く)の選挙活動・政治活動は、地方公務員法の第36条によって例外的に規制されています。他方、「住民のくらしを優先する仕事がしたい」、「住民本位の市政を実現したい」という自治体労働者に共通の要求を実現するために、労働組合活動の一環としておこなう活動は、公権力の行使過程とは無縁のものですから、広い範囲で自由におこなうことができます。
労働組合法第2条によれば、「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的」としているのが労働組合です。地方公務員法第52条も「職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体」を職員団体と規定しています。したがって、その目的を達成するために、組合は政治活動や社会活動をおこないます。
最高裁判所は、「労働組合が組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し、その選挙運動を推進すること自体は自由である」と述べています。(昭和50年11月28日、国労広島地本事件判決)
労働組合が組合活動として政治活動をすることは、法律上の異論がありません。
特定政党の支持にNO
地方公務員法による政治活動制限の対象は、職員個人のみです。学習会などの労働組合活動である政治活動は、庁舎内でも、自由にできます。法律と制度を理解し、労働組合として活動しましょう。
ただし、いくら法律が認めているとしても、特定政党を支持する労働組合には、特定の思想を持つ労働者しか加入できなくなってしまいます。
そのため、わたしたちの組合は「連合・自治労」のように組合が特定政党を支持することには反対です。「一致する要求の実現のために団結し行動する」ことは、横浜市従業員労働組合が大切にしている原則です。組合員の思想・信条は自由であるべきです。
YES!一致する要求で協力
他方、市長選挙は、労働組合・住民運動・政党などが一致する要求を実現するために、特定政党の公認ではない無所属の候補者を擁立し、推薦・支持してたたかう選挙です。
自治体労働者にとっては、「仕事と市政」の在り方を問い、安心して働き続けられる権利を発展させる運動を前進させる重要な機会です。
住民生活を守る要求を職場要求と統一して実現するには、地方自治を擁護し住民本位の市政を確立させる運動が欠かせません。
いうまでもなく、誰が市長であるかは、職場における組合の影響力と等しく、要求実現を遠ざけたり近づけたりする条件の一つだからです。