日本商工会議所などが4月5日、最低賃金や賃上げに関する調査結果を発表しました。2022年度の最賃改定で「引き上げるべき」と答えた中小企業の割合が、昨年の調査と比べて13・6ポイントも増え、4割を超えました。背景には、人材確保のためには賃金を上げざるを得ない中小企業の環境変化と、経営者の意識の変化があるとみられます。
調査は2月、全国の中小企業3222社から回答を得ました。
22年度最賃改定がどうあるべきかを聞いたところ、「1%(9円程度)以内の引き上げとすべき」との回答が13・6%で、「1%超~3%(28円程度)以内の引き上げ」が20・9%、「3%超の引き上げ」が7・2%。計41・7%の中小企業が「引き上げるべき」と答えました。
昨年は「引き上げるべき」が合わせて28・1%でした。今年の調査では「引き上げ容認」が13・6ポイント増加しています。
一方、「引き下げるべき」はわずか3・3%、「引き上げはせずに、現状の金額を維持すべき」は36・6%で、合わせて前年比17ポイントの減。「引き上げるべき」が、「引き下げるべき」「現状維持」の合計を上回り、逆転しました。
防衛的な意識で賃上げ
今年の賃上げについて、「賃上げを実施予定」と回答した割合は計46%に上りました。うち約7割が「業績の改善がみられないが、賃上げを実施予定」と答えています。
賃上げの理由で多いのは、「社員のモチベーション向上」85%、「人材の確保・採用」69%。人材の確保・定着のために賃上げは不可避――。最賃引き上げを容認する意見が増えた背景には、中小企業をめぐる環境の変化と、それに伴う経営者の意識の変化があるとみられます。