8月8日、人事院は国会と内閣に対して、国家公務員の俸給表改定と一時金引き上げを勧告しました。勧告どおりに改定されれば、月例給は、初任給の大卒3千円、高卒4千円を中心に、若年層で引き上げられることになります。一時金は、今年度は12月期支給額が改定されることで、職員については勤勉手当0・1月分が引き上がります。
月例給は、民間給与との較差921円(0・23%)を埋める改定です。「民間における賃金の引上げを図る動きを反映」したと「総裁談話」の中で人事院も述べたとおり、春闘期にストライキを含む交渉力を発揮してコロナ禍前の水準まで賃上げを勝ち取った民間労働組合や、賃上げ機運を先導したケア労働者ら、国民春闘共闘委員会の仲間をはじめとする民間労働者の運動の成果を反映したものです。
また、若年層への賃上げ原資の集中は、「賃金は労働力の再生産費である」=「生計費原則」に基づく給与改定を求めてきた公務員労働組合の要求の反映であり、当然なされるべき方向での改定です。
ただし、金額はなお低額で、引き上げを若年層に限定してもまだ勤務地(地域手当の支給率)によって初任給が最低賃金を下回る現状は解消されません。官民較差の枠内だけで原資を用意する勧告制度の限界を顕著に示しています。
会計年度職員の賃上げに傾注せよ
一時金については、年間支給月数が民間企業を0・11月下回っているため、0・1月(再任用職員は0・05月)を引き上げますが、引き上げ分の全額を勤勉手当に配分します。たとえば新型コロナ感染症対応の係員間にも支給率の格差を広げます。職場のチーム内に分断を深める改定であり、現場の感覚に合致しているか大いに疑問が残ります。
それどころか、今回の人事院勧告と同じ方法が地方公務員の給与改定でも採用された場合、2年連続で引き下げられた会計年度任用職員の期末手当は回復されません。
地方公務員労働者・労働組合は、会計年度任用職員賃金の抜本的な引上げを自治体当局に決断させるために、組織の力を集中してたたかわねばなりません。