「神奈川県は朝鮮学校への補助金を再開せよ」――。7日の昼下がり、神奈川朝鮮中高級学校の生徒の声が響きました。
補助金交付の再開を求めて、保護者、支援者らとともに取り組む月に一度の「月曜行動」。参加者らはプラカードを掲げ、スピーチやシュプレヒコールで補助金交付の再開を訴えました。
2014年に始まった「高校無償化」の対象から朝鮮学校を排除した政府に続き、神奈川県は2016年、補助金を打ち切りました。
生徒たちは次々とマイクを握り、声を届けました。
生徒の一人は、「朝鮮学校は設備も古く、雨が降れば雨漏りをする、そんな学校です。修繕は学生の父親らがボランティアでおこない、先生たちは毎日夜遅くまで働いています」と、朝鮮学校の現状を伝えました。続けて「私たちは、一歩学校の外に出れば冷ややかな視線を浴びたり、『危険だから』とチョゴリも着られなかったり、たくさんの差別を受けてきました」と、かれらに向けられる日本社会の眼差しについて語り、「なぜ、当たり前の権利を得るために闘わなければならないのでしょうか。私たちは学びたいだけです」と力を込めました。
次いでマイクを手にした生徒は「何の罪もない朝鮮学校の学生の学ぶ権利を踏みにじり、夢や希望まで奪う。多文化共生をうたう神奈川県でこのような民族差別が起きていいのでしょうか? 学校で自分の民族の言葉、歴史を学ぶことの何がいけないのでしょうか? 差別が正当化されている日本社会に私は納得ができません」と悔しさをにじませ、「一刻も早く間違いを正し、差別のない平和な社会を築きあげることを願います」と訴えました。
保護者の一人は「子どもたちには、本当は学びや部活動など、学校生活をおう歌することに全力を尽くしてほしいのに、(宣伝行動のために)今日もこうしてここに立っている」と話し、大切な学生としての時間を奪ってしまっているやるせなさを吐露しました。
憲法尊重擁護の義務を負った自治体職員の仕事は誰のためにあるのでしょうか。高校生らが学びの時間を犠牲にして訴えに立たねばならぬような自治体政策が「住民福祉の増進」に資するものでしょうか。
宣伝の終盤、高校2年生の女子生徒がマイクを握り、庁舎内の職員たちに語りかけました。
「怒りの声を上げる私たちを見て、あなた方はまたかとでも思っているのでしょう。先輩たちや私たちがこうして声を上げ続けるのは、あなたたち神奈川県が朝鮮学校に不当な差別を続けているからです。日本政府は朝鮮の核開発や拉致問題などの政治的理由で朝鮮学校を高校無償化から除外し、補助金を停止するよう都道府県に対する通知をしました。これは明らかに『政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない』という日本国憲法に反する不当な行為です」