“子育てしたいまち”さらに前へ

市民のための山中市政すすめる職員の隊列 大きくひろげよう

 1月29日、組合本部は幹部役員春闘討論集会にあたる「役員セミナー」を開催しました。水野博中央執行委員長は、「感染防止対策をしっかり行い限られた時間の開催だが、しっかりと学び、春闘を起点に、組合員増勢をはじめとした様々な運動に足を踏み出す意思統一を」と呼びかけました。当日の委員長あいさつを編集部がまとめたものを掲載します。

首相が勝手に米軍と一体化

 23国民春闘がスタートしています。今年の春闘の課題についていくつか触れたいと思います。

 1月23日から150日間にわたる通常国会が始まりました。大きな課題の1つは、昨年の12月に「安保3文書」(「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」)の改定を閣議決定し、敵基地攻撃能力の保有と大軍拡・大増税を進める政権の暴走です。

 岸田文雄首相は、通常国会の開催前に米バイデン大統領と会談して、この改定を報告し歓迎されています。首相は、これまでの日本の安全保障の大転換と言っていますが、そうであれば国会での議論や国民に信を問うことが必要ではないでしょうか。

 沖縄のミサイル基地を整備し、米国から1600kmも飛ぶミサイルを購入し配備するための整備を進めるとともに、九州にある自衛隊の基地を地下に移す計画を進めています。横浜のノースドックに米軍の小型揚陸亭部隊を配備することもバイデン大統領と合意したうちの一つです。

 日本が専守防衛をかなぐり捨て、米国の戦争相手国に攻撃をするならば、相手国は日本に報復措置をとることは目に見えています。

 タモリさんが「徹子の部屋」に出演し、2023年はどんな年になるのか問われて、「新しい戦前になるのでは」と答えたことが反響を呼んでいます。

 この間の世論調査にも変化が出てきています。これまでの調査では、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、防衛費の増加について賛成が多い結果となっていましたが、最近では反対が多くなっています。日本が戦争に巻き込まれるのではないかとの不安が高まっているのだと思います。

 岸田首相の大軍拡化を見て、憲法学者らによる「平和構想提言会議」は「戦争ではなく平和の準備を」という対案に位置づけた提言を公表しました。始まった戦争はなかなか終わらなくなってしまいます。そうではなく、平和的な外交で戦争しないように努力することが重要だということだと思います。

物価ばかりが上がっていく

 次にくらしと経済の課題について触れます。

 2月は冷凍食品をはじめ4千品目の値上げが予定されており、現在、東電は家庭向け電力の3割値上げを申請しています。

 41年ぶりの物価高と言われていますが、41年前との大きな違いは、41年前は賃金が上昇するもとでの物価高でした。今回は8か月連続で実質賃金が下がる中での経験がない物価高です。

 岸田首相も「政治の責任で賃金を上げる」と言わざるを得ず、財界にお願いをし、経団連の「経労委報告」(経営労働政策特別委員会報告)に「賃上げは企業の社会的責務」との考え方が新たに示される状況です。

 大企業の内部留保は500兆円を超えており、労働者へ還元させること(=大幅賃上げ)が求められています。

 企業が従業員の賃金を40%引き上げることや初任給を5万円引き上げることが話題になっています。日本の労働者の賃金が世界と比べて低い状況にあることを認めているのであり、これだけ賃上げしても利益が上げられるということです。これまでの労働者への配分がおかしかったことを表しています。

 県内でも、ある銀行の内部留保は労働者1名あたり1億円以上です。こうした大企業の内部留保を社会的に還元し、中小企業へ支援することで最低賃金を1500円にすることなどが可能なのは明らかです。大幅賃上げと較差の是正、いのちとくらしを守りきる春闘の闘いが要求実現のカギとなります。

 全労連・国民春闘共闘は、実質賃金の回復と生計費原則に立って「月額3万円以上、時間額190円以上」の賃金引き上げ、「時間額1500円以上」の最低賃金要求を掲げ、春闘におけるベア追求と一体に「全国一律最賃制確立」を掲げた最賃闘争を進めることを提起しています。

 民間労働者と共に「8時間働けば普通に暮らせる社会」をめざし貧困と格差の是正や大幅賃上げなど官民共同による運動を進めましょう。

 新型コロナ感染症は、まもなく4年目を迎え第8波も収束が見通せない状況となっています。第8波の特徴は高齢者の死亡が増加していることです。1日で500人が亡くなるなど深刻な状況です。

 高齢者施設でコロナに感染し入院治療を受けなければならないのに、病床がひっ迫していて施設で亡くなるケースが増えています。救急搬送困難事案も増えています。

 医療・公衆衛生の脆弱性が明らかになってなお、ワクチン接種だけで医療体制や保健所の体制を拡充してこなかったばかりでなく、岸田首相は新型コロナ感染症の分類について、2類から5類に引き下げて感染防止も自己責任に押し付けようとしています。

 人のいのちとくらしよりも、利益と効率性を優先した政治の責任が問われています。個人の尊厳を蔑ろにする政治の転換が求められています。

仲間の要求に全力で

 昨年の賃金確定・一時金闘争ですが、春闘期から市人事委員会に対し、①コロナ禍で奮闘する職員に報いることや生活改善につながる賃金改善、②第三者機関としての役割だけでなく公務労働者の労働基本権を制約した代償機能としての役割を十分に発揮すること、③初任給をはじめ民間との格差を解消することなど、継続的に要請してきました。

 その結果、月例給については初任給を高卒・短大卒で6千円、大卒で5千円の引き上げ、20歳代を重点に引き上げる改定が勧告されました。

 人事委員会が一時金を勤勉手当で引き上げる勧告をしたもとで、会計年度任用職員の一時金の引上げと報酬額の引上げをどう勝ち取るのかが、大きな課題となりました。

 横浜市従業員労働組合は、正規職員の組合員も会計年度の組合員も一体となって会計年度任用職員の一時金引上げについて熱く訴えました。

 労使交渉で、一時金は期末手当を、報酬額については今年4月から区分1と区分2は対応する給料表に準じた引上げと、区分3(旧嘱託員の職を含む職)は常勤職員の給料月額の改定等を考慮して一部改定する内容の回答を引き出しました。仲間の要求に団結し続けた貴重な成果です。

共同のとりくみ 予算に反映

 1月27日に横浜市の2023年度予算案が発表されました。山中竹春市長が公約で掲げた「3つのゼロ」のうち、「子育てしたいまち」として子ども医療費の拡充や中学校給食の予算が拡充され、敬老パスや出産費用についても検討や調査の予算が組まれています。市民要求の実現と市民本位の市政実現に向けた取り組みが反映されたものです。共同の継続が重要です。

 横浜市従業員労働組合は75周年を迎えました。今年4月の新採用拡大と「増勢」の構えをつくりましよう。