パレスチナ情勢について、国連総会の「人道的休戦」決議採択を踏まえて、あらためて尊厳を求めるパレスチナ人の正当な権利を支持し、イスラエルの国際法違反を強く非難します

 国連総会は、10月27日、前日に再開した「占領された東エルサレムとその他の被占領パレスチナ地域におけるイスラエルの違法行動」をアジェンダとする第10回緊急特別会合において、「民間人の保護と法的・人道的義務の遵守」と題する決議文書を120か国(最終集計は121か国)の賛成で採択しました。
 アラブ諸国を代表してヨルダンが提案したこの決議には、45か国以上が共同提案に加わり、敵対行為の停止につながる即時かつ永続的な人道的停戦を呼びかけ、国際人道法を含む国際法上の義務を即時かつ完全に遵守するよう要求しました。
 決議はまた、ガザ地区全域の民間人に不可欠な援助の、継続的かつ十分な妨げられることのない提供を要求し、捕虜となっているすべての民間人の即時かつ無条件の解放を要求するとともに、国際法に従って安全で幸福かつ人道的に扱うことを要求しています。

 この総会決議は、10月7日以来の激化する暴力の進行に関して、安全保障理事会が常任理事国による拒否権の発動で4度も合意に達することに失敗した後、初となる国連の正式な対応です。安保理が国際平和の維持に対する主要な責任を果たさないとき、「平和のための結集」の使命に基づいて招集される緊急特別会合は、すべての加盟国が対等の立場に立っており、拒否権を行使できる国はなく、決議に法的拘束力はないものの、国際政治に重要な意味を持っています。
 採択された決議を踏まえて、私たちは、すべての当事者の自粛を支えるために、日本政府は外交によって国際社会に役割を果たすべきであることを再度指摘するものです。

 採択にあたり、アラブ諸国とともに、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの諸国が主導的な役割を果たしました。ここには、核兵器禁止条約の発効にも見られるような、世界史上の構造変化が現れています。植民地支配体制の崩壊後の多極化と、近年の資本主義超大国の凋落を示すものであり、帝国主義的な利益の実現のために一部の西側諸国がいくら「国際社会」を自称しようとも、かつてのように世界を意のまますることはできなくなりつつあります。
 実際、この会合ではカナダが「ハマスによるテロ攻撃」等を明確に名指しして非難する修正案を提案し、米国も「(原案が)実行犯を名指ししないのは言語道断だ」し、「人質」に言及する必要がある等と強く賛意を表明しましたが、パキスタンの「公正かつ公平であるためにはイスラエルも名指しされるべき」、「これはイスラエルによる占領とパレスチナ人殺害が何ら処罰を受けずに続いた50年間だ」、「イスラエルは真実に向き合うことも、正義を直視することもできない。原罪はイスラエルの侵略で、ことは10月7日に偶発したのではない」等の討論に象徴されるような反発を招きました。結果的に、日本を含む賛成85に対して、反対・棄権・無投票あわせて105で十分な支持を得られず否決されています。

 すでに私たちが10月10日の中央執行委員会声明でも明らかにしているとおり、イスラエルが度重なる国連決議を踏みにじり、国際法に違反し続けているという事実を看過することはできません。「同盟国」や「価値を共有する国」としてイスラエルを支持し、ハマスに対して一方的に非難する西側「国際社会」の対応は偽善的です。
 危機の責任は、違法な封鎖と占領、入植地の拡大、無法な空爆と地上侵攻を進めるイスラエルにあります。イスラエルの国際法違反を「自衛権」と認めることはできません。

 横浜市従業員労働組合は、尊厳を求めるパレスチナ人の正当な権利を支持し、地域の安定と平和のために行動する世界の反戦運動、とりわけ軍事行動を拡大するネタニヤフ政権下という困難な状況にあってもパレスチナ人とともにあろうとするイスラエルの非暴力運動に連帯し、自国の軍拡に反対することとあわせて、停戦と恒久平和を求める国際世論を高める運動に合流することを表明するものです。

2023年10月31日
横浜市従業員労働組合中央執行委員会