12月28日、日本政府は憲法が保障する地方自治の精神を蔑ろにし、沖縄の声を力ずくで押しつぶす、2000年の地方分権改革以降初めての「代執行」を行った。ここまで地方自治を無視し、民意を押しつぶす政権は他に類を見ず、暴挙に他ならない。報道では、1月中旬にも軟弱地盤のある大浦湾側の工事がはじまる予定だという。
辺野古新基地建設を巡っては、防衛省は2020年、大浦湾側の軟弱地盤対策等のための設計変更を沖縄県に申請した。県は調査不足や、この間の県知事選挙、県民投票の結果等の民意を汲み承認しなかった。このため、工事関連の法律を所管する国土交通相が22年、玉城知事に是正を指示した。これに対し、県は国を提訴。しかし23年9月に最高裁が国の是正指示を「適法」とする判決を下した。それでも県は民意を貫き、承認を行わなかったため国は10月に代執行に向けて提訴し、12月20日に福岡高裁那覇支部がこれを認める判決を出した。県は上告している。
玉城デニー知事は代執行が行われたことを受け、「国策の名の下に、代執行という国家権力によって、選挙で沖縄県民の負託を受けた知事の処分権限を一方的に奪うことは、多くの県民の民意を踏みにじり、憲法で定められた地方自治の本旨をないがしろにするもの。国と地方自治体との関係を「対等・協力の関係」とした地方分権改革の成果を無にし、『上下・主従の関係』に逆行させるものにほかならない」と述べている。地方分権改革で国と地方は対等な関係とされ、代執行手続きは国と地方の対等関係を前提にされているが、この間政府は沖縄県が対話による解決を求めても耳を貸さず、裁判でも政府の政策を盲目的に追認しているだけである。
岸田首相は、「国交大臣が法令にのっとり、必要な対応をしたもの。普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、基地負担の軽減を図るため全力で取り組む」と述べているが、軟弱地盤を改良する技術はなく、大量の埋め立て土砂や作業船確保の見通しも立っていない。完成後の崩落の危険、巨大な環境破壊が指摘されており、工期が長期化することは免れず普天間飛行場の危険性の早期除去に繋がらない。2023年11月に行われた、報道機関向けに軍事活動に関する説明会の中で在沖米軍幹部は「辺野古は滑走路も短く、陸側に高台もあることが難点、完成後も普天間飛行場を使い続けたい」との意向を示している。さらに2017年6月の国会答弁で、当時の稲田朋美防衛相は「米側との条件が整わなければ(普天間は)返還されない」と答弁している。辺野古新基地が完成したとしても、米軍の要求する条件を満たさなければ、普天間飛行場は返還されないことは明らかである。
権力の集中と乱用を防ぐはずの三権分立が全くの機能不全に陥っている。政府と司法により再び沖縄の土地、自治を奪おうとする動きに対し、横浜市従は日本政府に「代執行」への抗議とともに新基地建設の中止を求めていく。そして「地方自治を破壊する一切に反対する」、「日本の完全独立」を綱領的任務とする労働組合として、沖縄県民はもとより全国の基地建設反対、地方自治を守る闘いに取り組む市民と連帯し、辺野古新基地建設反対、基地撤去の取り組みに結集していく。
以上、決議する
2024年1月11日
第6回中央闘争委員会