東京湾の入り口で番兵のように張り出しているのが観音崎だ。一帯は県立公園が整備され海のイメージが強いが、内陸部は豊かな森に包まれた複雑な山地形で構成され、「山&海」歩きをコンパクトに気楽に楽しめる。お勧めポイントを列挙するので、園内マップをゲットして、お気に入りのスポットを訪ね歩くとよい。
【観音崎灯台】ご存じ、観音崎のシンボル。全国に16しかない「登れる灯台」で、300度にわたって広がる海のパノラマに息を飲む。海岸に降りたら、関東大震災で破損した灯台頭部の残骸が、岩礁に打ち捨てられているので注目を。
【たたら浜】小さなビーチだが、砂浜が白いのが特徴。貝殻成分が多いのだろう。沖縄のコーラルビーチを思わせる。晴れた日が最高。
【素掘りのトンネル】たたら浜と灯台を結ぶ通路上の歩行者専用トンネル。素掘りで表面処理をしていないため、ドーム状の内壁に描き出される地層の模様がなんとも幻想的。怖いと感じる人もいるかも。
【三軒家園地】海から一段高い位置に整備され、海の眺めと樹々・芝生の佇まいが見事に調和。横須賀美術館のすぐ裏手にありながら人の少ない穴場だ。
【戦争遺跡】あちこち歩いてみると、公園の主要部分は山上部まで、幅広で傾斜の緩い遊歩道が網の目のように巡らされていることがわかる。そのお陰で軽装でも山中を無理なく歩けるわけだが、この道、先の大戦までの軍事用の物資運搬路の名残なのである。一帯は、東京湾の入り口に突き出た地政学的位置関係から、明治期に東京湾に侵入してくる敵艦隊に備える要塞地帯として整備された。歩道脇の要所要所に重厚なレンガ造りの砲台跡などが残され、自然に還りつつある姿が芸術的香りを醸し出している。
過去形ばかりではない。岬の最先端は風光抜群の草原状の台地なのだが、今なお海上自衛隊の敷地で、残念ながら立ち入りができない。一角の山際には防衛庁の職員宿舎があり、山間部の隣奥は防衛大学校となっている。エリア一帯に国防の歴史と今が詰まっている訳で、時にはこんな視点から戦争の悲惨さ・無意味さ、平和の尊さについて一考してみては?
◆おすすめコース
走水神社─森のロッジ─戦没船員の碑─たたら浜─観音崎灯台─三軒家園地─横須賀美術館(1時間半:初級向け)
◆参考地図・ガイド ◎「観音崎公園」で検索して公式サイトにアクセス、園内マップをプリントアウト