兵庫県明石市が来年4月から、中学校給食の完全無償化を決定しました(9月28日神戸新聞が報道)。所得制限なしの無償化は政令・中核市では初めてのことです。
一方で、横浜には中学校給食の用意すらありません。9月12日の市会こども青少年・教育委員会で鯉渕教育長は「(ハマ弁を)定着させることが生徒のみなさん方の健康な身体づくりにつながっていく」と理外の理を展開しました。
また、26日の決算特別委員会で市長は、生徒の昼食を原則ハマ弁とすることで、喫食率が4割を超えた学校があることを報告し、「引き続き利用促進に努めていただきたい」と答弁。家庭弁当・業者弁当・ハマ弁の中からの「選択制」を市の方針にして、給食に背を向けておきながら、業者弁当が撤退してしまった〝原則ハマ弁〟校は肯定しています。
鯉渕教育長が「中々よいものだと心底思っている」ハマ弁は、本当に子どもたちから望まれているのか? 今年1月にハマ弁を食べた小学6年生(当時)が組合員のアンケートに協力してくれました(クラス30人全員より回答)。
食べた感想は、「美味しくない」は2人にとどまり、「美味しい」と回答したのは17人。「健康的で中学生が食べるにはちょうどういい」「汁物が温かくてよかった」などの肯定的な回答が全体の7割を占めています。
ところが、給食との比較で感想を訊ねると、一転して「給食の方が温かい」「給食の方が美味しい」「給食の方がバランスがよい」といった意見が目立ち、肯定意見は辛うじて、「卵焼きがあった」などの4件だけでした。
「中学校で注文してみたいか」には「少し思う」「弁当がなければ注文してみたい」などを含めた「注文してみたい」が8人に対し、2倍以上の17人が「思わない」と回答。
ハマ弁をいくら改良しようとも、子どもたちが望んでいるのは、小学校のようなできたてで〝温かい〟給食なのではないでしょうか。それを象徴するように、「すべてにおいて給食の方が勝っている」と記載した児童もいました。
対して、兵庫県宝塚市の中川智子市長自ら「日本一」と絶賛する、こだわりの直営自校方式の学校給食は、子どもたちも「めっちゃうまい!」と喜んでいます。市長のインタビューが掲載された『子どもの元気育てる宝塚の学校給食』(2018年5月刊)では、調理師と子どもの顔が見える関係も大切にしていることが紹介されています。
「給食はお金に代えられない」「愛情給食で宝塚の子どもたちを育てます」という市長のポリシーのもと、担当職員も「義務教育において、子どもたちの命や身体を育むこと、宝塚市の将来を担う子どもたちを健全に育成することは、行政の重要な責務であり、使命であると考えています」といきいきと仕事に取り組んでいます。
住民団体「横浜にも中学校給食があったら『いいね!』の会」が、横浜市が挙げる〝給食をできない理由〟に反論しています。
調理施設を設けるスペースがない? 市教委が設置基準としている300㎡の法的縛りはなく、市内の小学校でも300㎡未満の施設が多くあります。近隣の小学校から給食を運ぶ親子方式については、市教委自身が4分の1の学校で実施可能と試算しています。
お金がない? 市教委の試算では、自校方式にかかる施設整備費は260憶円。5年かけて整備すれば単年度負担は一般会計の0・32%にすぎません。中学校給食をやるもやらないも、優先順位の問題です。
宝塚市で証明されているように、首長の姿勢如何で、職員にとってのやりがいと誇りある仕事も実現できます。住民本位な行政運営を私たち職員は望んでいます。
横浜の子どもたちにも健やかに、そして豊かに成長してほしい。横浜市に働く職員の当然の願いです。