10月25日(日本時間)、核兵器禁止条約の批准国が50に達しました。これにより、90日後にあたる来年1月22日の発効が確定しました。
核兵器禁止条約は、開発、実験、生産、保有から使用、さらには威嚇にいたるまで全面的に核兵器を禁止して違法化する画期的な国際条約です。威嚇が禁じられるということは、「使えない」だけでなく、「抑止力」にすることが認められなくなることを意味します。核兵器は「持っているだけで犯罪」であり、「核兵器そのものが悪」だと明確に定められるのです。
保有国が一致して抵抗
50の国と地域の批准が目前に迫った21日、米国がすでに批准した複数の国に対し、批准を取り下げるよう求める書簡を送り、圧力をかけていたことがAP通信社の報道によって明らかになりました。米紙ワシントン・ポスト(電子版)も、最大の核保有国が発効を妨害していると伝えました。それらの報道によれば、米国は書簡で、他の核保有国のロシア、中国、英国、フランスと北大西洋条約機構(NATO)同盟諸国とともに「一致して反対している」と表明したそうです。
日頃は対立が激化しているはずの米中、そしてロシアを含む米ロ英仏中の核兵器大国は、これまでも「一致して」核兵器禁止条約を敵視してきました。そして、発効に至ることを妨害する目的で、執拗に「共同声明」を発表して非難を繰り返してきました。
文字通り死力を尽くしてきた被爆者の方々が先頭に立つ草の根の運動、国際連帯の力によって、一部の大国の露骨な抵抗を乗り越えて、発効を確定したこともまた、画期と呼べるものです。前世紀の植民地体制の崩壊に続いて、大国が世界を支配する歴史は終わりつつあります。
「核兵器のない平和で公正な世界」を求めて、原水爆禁止世界大会への代表派遣や、「ヒバクシャ国際署名」などの原水爆禁止運動に参加を続けてきた大勢の職場組合員とともに、禁止条約の発効確定と世界史の変動を歓迎したいと思います。
背を向ける日本政府
恥ずべきことに、世界で初めて核兵器が実戦で使われた、ただ2つの被爆地ヒロシマとナガサキのある国の政府は、同盟国の「核の傘」に依存し、禁止条約に背を向けています。しかも「潜在的核保有国」です。
しかし、批准せずに法的拘束力から逃れたところで、国際社会の規範が確立していく過程で、道義的責任を免れることはできません。非人道的な兵器にしがみつく態度は断罪され、孤立を深めるに違いないのです。
われらは孤立を深める政府に代表されない国際連帯と共闘の道を行こう。