横浜市従業員労働組合は今月、定期大会の開催を予定しています。新型コロナウイルス感染拡大から1年以上が経過しましたが、医療崩壊、ワクチン接種の遅れ、科学的根拠を欠いた場当たり的な「緊急事態宣言」もしくは「まん延防止等重点措置」の運用により、労働者・国民の雇用・生活にとって深刻な状況が続いています。「全体の奉仕者」たる公務労働の役割と重要性をいかんなく発揮する労働運動の意義とは何か? 時間を短縮してソーシャルディスタンスを確保しつつ開催される定期大会に、現下の情勢は、鋭く問いを投げかけています。
第75回定期大会の成功に向けて――書記長語る
――新型コロナウイルスの感染拡大は収束をみないまま、1年半が経過しました
世界規模の感染拡大は、医療・公衆衛生分野の脆弱さや雇用破壊、自己責任に頼る「外出自粛」や「休業要請」、補償政策の不十分さと対応の遅れなど、新自由主義的構造改革路線の政治がもたらした社会のひずみと課題を浮き彫りにし、資本主義の限界を露わにしています。
失業や廃業・倒産、十分な補償のない営業自粛で苦しい生活に追い込まれる労働者が増え続けている一方で、巨大資本はコロナ危機の中でも、リーマンショックからの回復時を上回るほどに業績を好転させ、富裕層も資産を増やしています。
――コロナ禍の今だからこそ、公務労働組合の果たすべき役割が重要になっています
そうですね。住民のいのちとくらしを守るための運動を前進させること、地域住民「全体の奉仕者」たる公務員として、根幹に憲法を据えて地位を確立することが求められています。
コロナ禍のもとで、医療や公衆衛生の現場を中心に、公務公共関係労働者は住民のいのちとくらしを守るために働いていることの理解が、住民の中に広まっています。公共つまり「コモン」の拡充が住民の要求であることに、私たちは確信を持ちたいですね。コロナ禍で活動が萎縮傾向にありますが、職場要求と住民要求を一体のものにして、住民の共感を得ながら労働運動を進めていく必要があります。
――政府と財界は感染症対策を理由に、「働き方改革」を進めています
「柔軟な働き方」や「雇用によらない働き方」は、労働時間規制の緩和あるいは被用者保険の適用除外などによる労働者の権利侵害の危険性を持っています。「選択肢が増える」という触れ込みの反面、労働環境の悪化も懸念されます。
横浜市役所でも、端末台数を増やして対象を拡大した「テレワーク」が試行実施されていますが、管理職による「勧奨」で職員がテレワークを強制されるおそれがあるなどの問題点が明らかになってきました。本格実施に向けて職員のための制度にすることを求めていきます。
また、感染拡大に伴う業務の増加に、現行の人員を前提とした職員応援で対応していることから、超過勤務の著しい増加が懸念されます。長時間労働是正の実効性ある取り組みが求められています。
「8時間働けばふつうに暮らせる社会」をめざし、安定した雇用と働くルールの確立をめざす運動に力を入れていきたいと考えます。
――ところで、今年は8月に横浜市長選挙があります
林市長は、カジノ誘致について住民投票で多数の反対があれば結果に従うなどと表明していました。
ところが、住民投票条例制定の直接請求署名が法定数を超えると、住民投票実施の意義を見出しがたいなどと言い、住民自治を理解しない態度を示しました。
林市政の本質的評価を明らかにして、市民本位の市政への転換をめざす運動へ、住民投票直接請求運動の到達を発展させていくことが重要です。
広範な市民や団体との共同の運動の前進とともに、地域ごとの地方自治研究運動を発展させた行政区単位での市民要求実現の共同の運動を構築することが急がれます。
――住民要求の実現のために、わたしたちに職場でできることは何でしょうか
言うまでもなく、ここで挙げたような運動の前進と要求実現は、職場を基礎にした強く大きな組合があって実現するものです。雇用形態を問わず職場の過半数労働者を組合へ迎えることを共通の目標に、役員だけでなく、組合員のみなさんと日常活動として推進したいと思います。
――定期大会開催へ向けた組合員へのメッセージをお願いします
第75回市従定期大会は、切実な要求にもとづく政治の変化を求める国民的運動の前進と結びつけながら、組合員はもとより労働者・国民の要求実現をめざして奮闘してきた1年間の運動の総括と確信を共通のものにするとともに、新自由主義から脱却した、憲法を守り活かす日本社会の展望と結びつけながら、向こう1年間の運動の意思統一と方針、運動を推進する新たな執行体制を確立する大会です。
組合員のみなさんによる討論で方針を深め、豊かなものにして、大会を成功させていただくことを呼びかけます。
支部には、組合員が主役になる方法で、大会代議員を選出していただくことをお願いします。