米国の政治論争に学ぶ 庶民の階級連合を構築し維持するために

 メディアが野党共闘を「惨敗」と報じ、政治的言論を富裕層に有利な方向へ導こうとする攻勢が加速度を増しています。

労働者の勢力を政治空間に構築する

 米国でも2020年の選挙の後、イデオロギーが過激で有権者の支持を得る障壁になったと進歩派を非難する中道派と、大胆な経済的メッセージの欠如が労働者の熱狂的な支持の獲得を妨げていると主張する進歩派のリーダー(アレクサンドリア・オカシオ=コルテスら)が民主党内で議論を交わしています。

 その流れの中で、政治・経済・文化についての米国の主流な左派のジャーナル誌『ジャコバン』は、共同研究の報告書「連帯の共通認識:労働者階級の連合をいかに構築し維持するか」(*)を先月9日に公表しました。

 何千もの仮想の下院議員候補者に対する労働者階級の有権者の意見を比較した調査は、進歩派の躍進が地方議会にとどまり国政の革新を果せていないことを課題に挙げ、特に保守的か、支持が流動的な地域に効果的な戦略を明らかにする目的でおこなわれました。

 労働者階級の有権者は、基本的な経済問題に焦点を当てて普遍的な言葉で語る進歩的な候補者を好む。左派ポピュリストの進歩的なメッセージは、他のリベラル候補と同様に、労働者階級を惹きつける。労働者階級の有権者は、労働者階級の候補者を好む。とはいうものの選挙を棄権しがちな有権者が「いつも通りの政治」への不満から自然と進歩派に味方するとは限らないこともわかりました。また、既成政党色を敬遠して無所属候補を支持するのは「自称」無党派で、右派的な浮動票であることが示唆されています。

権利はたたかいで拡張する

 同様の傾向が日本でも現在進行中であるならば、わたしたちは、まず、傷ついた労働者を癒す大胆な経済政策を要求するたたかいの可視化から始めなければなりません。

衆議院選挙の結果(10月31日投開票)
 小選挙区制の議席配分は民意と乖離するゆえ、過半を下る得票で圧勝。内実は野党4党に似せた社会民主的な政策を被って辛勝したとしても、選挙が終われば、資本の利益を代表する党はネオリベに回帰する。

 「改革」が旗印の新自由主義に親和的な言説に振り回されず、階級に共通の利益を見極める力を養うことは、議会全体を労働者の権利を拡張するほうへ引き寄せるでしょう。

 これは、特定政党支持の押し付けに反対する方針と両立します。

教育宣伝部長

*“Commonsense Solidarity:How a Working-Class Coalition Can Be Built, and Maintained”. https://images.jacobinmag.com/wp-content/uploads/2021/11/08095656/CWCPReport_CommonsenseSolidarity.pdf(11月10日参照)