単純平均5516円 国民春闘の初回回答 19春闘水準に戻す

 横浜市従業員労働組合も加盟する全労連などでつくる「国民春闘共闘委員会」は3月11日、賃上げ集中回答の第1回集計を発表しました。春闘共闘は昨年に引き続き、集中回答日を連合大手より1週間早く設定。今春闘ではケア労働者の賃上げを前面に押し出しています。

 3月10日段階の初回回答は単純平均で5516円(2・0%)で、昨年同期の346円増、コロナ禍以前の19春闘の水準に戻しました。加重平均では4935円(1・87%)で、ほぼ横ばい。 

 看護師など医療関係は単純平均が5264円(1・92%)で、昨年同期比328円のプラス、2018年の水準にまで戻しています。

 介護・保育・福祉・学童保育関係では単純平均で4645円(3・30%)。昨年同期を413円上回っています。特に、介護分野では、生協労連の単組で政府の賃上げ補助金対象外の労働者も含む6千円のベアや、医労連の単組で5千円のベアが報告されています。

日本医労連は104組合が回答を引き出し、うち19組合がベア回答(10日17時現在)。各地でストライキ行動が取り組まれた(写真は3月10日、都内病院玄関前ストライキ集会)

 製造業では80組合の単純平均が昨年同期を694円上回る5789円(2・05%)を引き出す一方で、卸売・小売と出版が苦戦しています。

 非正規労働者の回答は、時給制の64件の単純平均で20・4円の引き上げ。昨年同期を2・2円上回っています。

 同日の記者会見で全労連の黒澤幸一事務局長は、政権の賃上げ政策について中小企業の大幅賃上げにはつながっていない、ケア労働者への賃上げ補助金については「多くの事業者が申請を躊躇し、特別手当など一時的対応にとどまっている」と指摘し、申請延長や増額・範囲拡大など制度改善を求めました。