1月11日(日本時間12日)日米両政府は、外交・軍事担当閣僚による安全保障協議(2プラス2)を開催しました。政府が昨年末に閣議決定した安保関連3文書に「敵基地攻撃能力」保有を明記したことを踏まえ、「新たな戦略の下、防衛予算の相当な増額を通じて、反撃能力を含めた防衛力を抜本的に強化する決意」を述べ、米国に大軍拡を約束しました。これに対し米国は「同盟の抑止力を強化する重要な進化」として強い支持を表明、攻撃能力の効果的な運用に向けて日米間の協力を深化させると共同発表に明記しました。日本が相手国の攻撃の対象になる危険があるだけでなく、東アジアにかつてない緊張と軍拡競争を持ち込むものに他なりません。
共同発表では、中国について日米同盟にとっての「深刻な懸念」であり、「最大の戦略的挑戦」だと指摘しました。台湾問題では「台湾海峡の平和と安定の維持の重要性」を強調しました。日本が「地域の平和と安定の維持に積極的に関与する上での役割を拡大する」とし、核兵器を含めた「米国の拡大抑止」は「日本の能力によって強化される」としています。その上で「米国との緊密な連携の下での日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間の協力を深化させる」ことを確認しました。米国の対中国の軍事戦略に日本を組み込み、日米の軍事一体化を一層進めようとするものです。
さらに共同発表の中で、沖縄の基地機能強化と合わせ、「海上機動力を強化するため」として、横浜ノース・ドックに米軍の新たな部隊、13隻の船舶と280人で編成される「小型揚陸艇部隊」を設けることが明らかになりました。防衛省から連絡を受けた山中市長は「部隊の新編は、わが国の安全保障上、必要であることは理解するが基地の恒久化につながる恐れがあり、早期返還を求めている市としては、遺憾と言わざるを得ない」とコメントしています。
ロシアとウクライナを見れば明らかなように、軍事対軍事では、平和を守ることはできません。米国の戦争に日本が参戦し敵基地攻撃を行えば、相手国による報復攻撃は避けられません。その標的は、南西諸島をはじめとする日本の国土であり、ノース・ドックもその対象となる可能性をぬぐい切れません。市民と共同して「横浜市内の基地返還、基地機能強化反対」を訴えてきた横浜市従は、この市民を危険にさらす基地機能強化の動きに対し、断固として反対の立場を表明するものです。
軍事力を高め、東アジアに緊張と軍拡競争をもたらすのではなく、対話による世界平和の実現を米国政府に求めるとともに、今こそ憲法9条を主軸とした平和的外交の道を進むよう日本政府に強く求めます。
横浜市従は「日本の完全独立と世界の恒久平和の実現」を綱領に掲げる労働組合として、引き続き、米軍基地の全面返還を求め、基地機能強化反対の取り組みを市民とともに進めていきます。
2023年1月17日 横浜市従業員労働組合中央執行委員会