研究者の雇い止め 「知の再生産」への影響を危惧

 

 理化学研究所や各地の大学が無期転換ルール逃れのために雇い止めを行おうとしています。横浜市従業員労働組合の加盟するナショナルセンター・全労連と研究者団体などは2月13日、国会内で集会を開きました。雇い止めを回避するための政治的な決断を国と政府に求めました。

 労働契約法の特例では、研究機関や大学の研究者、教員について、無期転換権が生じる要件を通算勤続10年としています。文部科学省の調査(2月7日発表)によると、3月末に通算契約期間が10年となる特例の対象者1万2137人のうち、4997人は雇用継続が未定です(昨年9月時点)。

 「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事は「衝撃的な数字だ。(日本の)知能の再生産やイノベーションに大きな影響を及ぼす」、「日本の研究環境が悪化する。今、なんとかしなければいけない問題だ」と警告します。

 理化学研究所の雇い止めは約400人に上るとみられます。組合員は「光による早期乳がんの検出技術を開発するチームリーダーを担っている。プロジェクトの期間が2025年までなのに3月末での雇い止めを通告された。理解できない。これでは多くの基礎研究が中止に追い込まれる」と訴えました。