パレスチナ情勢について、正当な権利と尊厳、地域の安定と平和を求める運動に連帯を表明します。日本政府は平和外交で役割を果たすべきです。

 パレスチナのイスラム組織ハマスは、7日の現地時間午前6時半ごろ、イスラエルに対してロケット弾を発射しました。ハマス側はロケット弾を「5000発」と発表しています。イスラエル軍による報復攻撃によってガザ地区でも多数の死者が出ており、報道によれば、10日現在、すでに双方で1400人を超えているとされています。
 国連のグテレス事務総長は7日、報道官を通じて、ハマスによるイスラエルへの「大規模攻撃」を「最も強い言葉で非難する」との声明を発表しました。
 横浜市従業員労働組合は、今回の件を受けて国際社会が広く発している「いかなる理由でも民間人の殺害や拉致は正当化できない」との主張を理解するものです。同時に、それゆえハマスに対して一方的に非難する「国際社会」の対応に異議を申し立てるものです。

 グテレス氏が9日の記者会見で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザの「完全包囲」宣言に「深く苦悩している」と述べたと報じられているように、今回の出来事には前史があります。イスラエルは、数十年に渡りパレスチナ人の土地を占領し、入植し、強奪を繰り返してきました。イスラエル国家と軍を後ろ盾にして勢いづいた日常的な差別、極右による虐待と拷問にパレスチナ人が憤ることは当然です。イスラエルが度重なる国連決議を踏みにじり、国際法に違反し続けているという事実を看過することはできません。
 ヨルダン川西岸の分離壁によって自由を奪われ続けたパレスチナ人に、その抵抗がいつまでも非暴力不服従の形をとることを期待するには無理があります。

 米国と英国、ドイツ、フランス、イタリアの各国首脳は9日、イスラエルへの「揺るぎない支持」を共同声明で表明しました。
 そもそも問題の発端に関する責任は、ユダヤ人問題の解決を域外に押し付けた欧米社会にあります。現在までイスラエルの無法を可能にしてきた責任もまた、帝国主義的野心からアラブへの介入の保障として、イスラエル国家を手放しに支持してきた米国と同盟国にあります。それらのある時には国連憲章と国際法を言い、あるときにはそれを逸脱する「イスラエルの自衛の権利」を言うような二枚舌を使う「西側」の国が集まって共同声明で「ハマスによるテロ行為への明白な非難」をすることは、自らがエスカレートさせてきた中東の混乱への無反省を露見させているに過ぎません。

 今般、岸田首相が8日にハマスの「テロ行為」を非難しつつ、「全ての当事者に最大限の自制」を求めるコメントを発したことに対して、「中間的」で毅然とした対応に欠けるかのように批判する声がありました。わたしたちはむしろ、全ての当事者の最大限の自制を支える、権利回復に向けた、質量ともに重厚な平和外交によってこそ日本政府が国際社会に役割を果たすべきだと考えています。

 国内国外のすべての働く仲間たちと協力して日本の完全独立と世界の恒久平和実現のためにたたかうことを綱領的任務とする横浜市従業員労働組合は、正当な権利と尊厳を求めるパレスチナ人と、地域の安定と平和のためにパレスチナ人と共同するイスラエルの非暴力の運動に連帯を表明するものです。

2023年10月10日
横浜市従業員労働組合中央執行委員会