私たちは、自治体当局が会計年度任用職員の賃金を4月に遡って増額改定するべきだと考えています。
総務省は、5 月2 日、会計年度任用職員の給与の取り扱いについて、「改定の実施時期を含め、当該常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とする」通知を出し、10 月2 日の総務省副大臣通知でも同主旨の通知を改めて出したところです。
11月10日には、総務省自治財政局財政課の事務連絡「令和5年度補正予算(第1号)に伴う対応等について」において、「常勤職員の給与改定が行われた場合における会計年度任用職員の給与については、改定の実施時期を含め、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とされていることに留意されたい」と念を押し、当該給与改定に係る一般財源所要額について、地方財政計画上の追加財政需要額(4,200億円)及び今年度の地方交付税の2,591億円(普通交付税2,436億円及び特別交付税155億円)増額交付の増額交付の中で対応することとしていることを示しています。
会計年度任用職員は、公務員として労働基本権の制約を受けています。人事委員会勧告制度はその代償です。総務省の繰り返しの通知にもかかわらず、人事委員会のプラス勧告を正規職員のみ遡及し、会計年度任用職員には遡及せず、翌年度へ先送りすることになれば、任期を1 年とされている会計年度任用職員は、任期のうちに勧告の効果を受けられません。能力実証の上で再度任用されることはあり得るものの、任期内は代償措置のない労働基本権制約に該当するものとなり、自治体当局の対応が憲法に抵触することになりかねません。
仮に、自治体の執行機関である首長が、会計年度任用職員の賃金について遡及改定しないこととしているとすれば、公務員として憲法を尊重し且つ擁護する義務を負っている労務担当者の業務上の対応にも違憲性を帯びさせることとなります。そうした業務遂行を職員に求めることは、社会通念上通用するはずもありません。
総務省自治財政局財政課の事務連絡「令和5年度補正予算(第1号)に伴う対応等について」(11月10日)より抜粋して掲載します
第2の1の(1)より抜粋
以下のとおり、5,741億円を令和5年度の地方交付税総額に加算して増額交付する措置を講ずることとしていること。
① 普通交付税の調整額を復活するとともに、国の補正予算における歳出の追加に伴う地方負担及び地方公務員の給与改定を実施する場合に必要となる経費の一部を措置するため、令和5年度の地方交付税を2,591億円(普通交付税2,436億円及び特別交付税155億円)増額交付することとしていること。
第3 地方公務員の給与改定より抜粋
常勤職員の給与改定が行われた場合における会計年度任用職員の給与については、改定の実施時期を含め、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とされていることに留意されたい。
当該給与改定に係る一般財源所要額については、地方財政計画上の追加財政需要額(4,200億円)及び上記第2の1(1)の地方交付税の増額交付の中で対応することとしているので、留意されたい。