パレスチナ情勢について、国連総会の「人道的即時停戦」決議の採択を歓迎し、組合員へ世界的な反戦キャンペーンとの歩調統一を呼びかけます

 国連総会は、12月12日、再開した第10回緊急特別会合において、10月27日に採択した決議と同じ題の文書「民間人の保護と法的・人道的義務の遵守」を153か国の賛成で採択しました。

 中東・イスラム諸国を代表してエジプトが起草した決議案の提出には、20を超える共同提案者が加わり、人道的即時停戦を要求しました。決議はまた、特に民間人保護に関して、国際人道法を含む国際法に基づく義務の遵守を繰り返し要求し、すべての人質の即時かつ無条件の解放と、人道的アクセスの確保を要求しました。

 今回の緊急特別会合で採択された決議は、国連憲章第99条によって「国際の平和及び安全の維持に対して脅威だと認める事項について、安全保障理事会の注意を促すことができる」とされている事務総長の権限を、アントニオ・グテレス氏が就任後初めて発動したにもかかわらず、12月8日に安全保障理事会が米国の拒否権行使によって採択に失敗した、即時の人道的措置を要求した決議案と同様の内容を備えています。加えて、フィリップ・ラザリーニUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)事務局長の「1948年のナクバ事件を彷彿とさせる、パレスチナの土地を越えた強制移住は阻止されなければならない」、「ガザとその地域の破壊に終止符を打つことを求める」、「総会に対し直ちに行動を起こすよう要請する」等とした書簡への留意を促し、これまでのパレスチナ問題に関する総会決議や安保理決議にも言及しています。

 私たちは、採択された決議を踏まえて、安保理における拒否権行使や大量の兵器供与などによって国際社会の努力を踏みにじり、イスラエルによる侵略と戦争犯罪に加担し続ける同盟国「米国」への明確な批判によって、日本政府が国際社会に外交的役割を果たすべきであることを指摘するものです。

 決議案の採択に先立って、いずれも十分な支持を得ず否決されたものの、オーストリアが人質に関して「ハマスおよびその他のグループに拘束されている」とする修正案を、米国が「10月7日から起きたハマスによる凶悪なテロ攻撃と、人質をとったこと」を第一段落に挿入する修正案をそれぞれ提出したことは、事態を執拗に「テロとのたたかい」として描き出すことで攻撃を正当化する試みとして、厳しく批判しておかねばなりません。私たちは、ジェノサイドの市民的受容を試みるいかなるイデオロギー攻撃に対しても、警戒を怠ることはできません。

 修正案で「その他のグループ」に言及したことは、オーストリアの意図がどうであれ、西側諸国がしきりにラベリングしたがっているのとは異なる事態の性格について、私たちに気づかせるきっかけを与えることになりました。西側で「テロリスト」呼ばわりされているパレスチナ側の参戦勢力には、ハマス(イスラム抵抗運動)やイスラム聖戦だけではなく、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)らも含まれています。この事実からは、「宗教対立」でも「ナショナリズムの衝突」でもなく、侵略と虐殺を繰り返す植民地国家イスラエルに対する、支配からの解放と独立を目指すパレスチナ人のレジスタンス(抵抗権の行使)という側面が浮き彫りになっています。

 繰り返し中央執行委員会声明で指摘しているとおり、私たちは、イスラエルが度重なる国連決議を踏みにじり、国際法に違反し続けているという事実を看過できません。あわせて、私たちは「いかなる理由でも民間人の殺害や拉致は正当化できない」と主張する側に立っていることも明確にしています。占領地における停戦のために必要なことは、被抑圧民の権利回復を支持し、侵略者の無法を糾弾して規制する一致した行動であることをあらためて指摘しなければなりません。エジプトが提案者演説で主張したように、侵略者の自衛権を国際法によって認めることはできません。

 緊急特別会合の再開にあたり、デニス・フランシス総会議長が宣言したように、人道上の危機は深刻であり、ガザにおける死者の70%を超えるのが女性と子どもです。このことは、イスラエルによる作戦が、戦闘員ではない民間人へのためらいのない集団懲罰と大量虐殺であることを示しています。フランシス氏の言うように、戦争にもルールがあり、この暴力は今すぐ止めなければなりません。

 10月16日以降、パレスチナの労働組合と専門職団体が世界的な団結を訴えたよびかけに耳を傾けて、世界中の多くの労働組合がパレスチナ人民と連帯する声明を発し、行動しています。中央執行委員会は、国内国外のすべての働く仲間たちと協力して日本の完全独立と世界の恒久平和実現のためにたたかう綱領上の任務として、即時人道的停戦決議を歓迎し、献身と信念を必要とする反戦行動を組織する世界の労働者と歩調を統一する努力を組合員へ呼びかけるものです。

2023年12月19日
横浜市従業員労働組合中央執行委員会