ニセコリゾートと言えば、国内よりむしろインバウンドに大人気のウィンターレジャーエリアだ。エキゾチックな名称にもそそられるが、ニセコの中核をなす一連の火山群はニセコ連峰と呼ばれ、その存在こそが今日の一帯の繁栄を支えているといえよう。
およそニッポンに数多ある火山群の中で「連峰」と称されるのは極めてレアだ。主峰であるニセコアンヌプリから、ほぼ一直線に椀で盛ったような典型的な火山地形が並び、総延長は20㎞以上に及ぶ。奇麗に並んだ見事さもさることながら、日本海に面しているので冬季は豪雪に見舞われ、それが絶好のパウダースノーエリアを構成しているわけだ。一方、雪のない時期はまた、格好の登山スポットを提供してくれている。
主峰はじめ、個々の山に単独で登るのもいいが、せっかく連峰を成しているので、縦走してみると充実感が増す。標高は1000mクラスだが、どこも上部は樹林を抜けているので素晴らしい展望が期待できる。
もうひとつ、ニセコハイキングの魅力は沼巡りだろう。山間部に魅力的な沼群が点在しているのだが、普通に抱く「沼」のイメージとは違って、どこも光に満ちている。とにかく開放的で明るいのである。なかでも極め付きの美沼が神仙沼だ。広やかな沼面の背後の洒落た針葉樹が、青空をバックに水面に投影され絵的に実に決まっている。アプローチには尾瀬のミニチュア版ともいうべき湿原が展開、夏の花、秋の紅葉、ともに見事だ。
さらにこの沼で特筆すべきはバリアフリーということだろう。山間の駐車場から木道が続いているが、階段等の段差がなく、ベビーカーや車椅子でも通行が可能なのである。もちろん、街中の舗装道ほどの平坦さはないが、こんな深山の核心部までバリアフリーとしたことに、地元の心意気を感じてしまう。国際派リゾート:ニセコの名に恥じない。バリアフリーということは観光散策にも絶好ということだし、もちろん山岳ファンなら幾つもの山々を越えてきた果てにたどり着いた方が感動は大きい。山・沼そして豊富な温泉が、雪のない時期のニセコの主役なのである。
◆おすすめコース
山はニセコアンヌプリかイワオヌプリ、沼は大沼がお勧め(初級クラス)。神仙沼だけなら往復40分
◆参考地図・ガイド ◎「ニセコ町観光パンフレット」で検索してニセコ町のサイトから地図をダウンロード