【第250山】河村城址225メートル(神奈川県)山北周辺に遊ぶ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 JR御殿場線は、箱根山地を穿った丹那トンネルが昭和9年にできるまでは堂々の東海道本線で、県西部の町:山北は機関車付け替えなどの鉄道の要衝であり大いに賑わっていた。残念ながら今では忘れられたような山奥の過疎の町になってしまっているが、桜のシーズンには溢れんばかりの観光客で賑わう。谷あいにある駅近辺の桜並木が、かつての栄光の路線に見事な花のトンネルをなして、そこを走り抜ける電車が動画的に決まるのである。

 さて、その谷間の南側は丸山・浅間山というほっこりしたスタイルの小山が連なっており、歴史の宝庫で見どころが詰まっている。標高差にして100mほどの山上部分が河村城址歴史公園だ。南北朝時代にルーツがあり、戦国期の北条氏により大掛かりな城郭となった。近年、曲輪跡や堀などの遺構がきちんと整備され、丁寧な解説板もあり、お城マニアでなくても十分に楽しめる。

 蒸気機関車のある鉄道公園から一登りで本城郭に出る。樹林に囲まれた広場で、桜が見事。駅周辺は人で溢れていても、ここなら静かなお花見が満喫できよう。公園を東側に進むとムードががらりと変わり、解放感満点の広大な広場になっていて展望が雄大。丹沢山地や足柄山地、箱根、小田原方面の平野から相模湾まで、ゆったり寛ぎながら山上気分を満喫できる。真の山頂を目指すのなら、さらに海寄りの浅間山まで足を伸ばせばいい。少し歩き、分岐から僅かで着く。展望はなく小さな神社があるだけの平凡なピークだが、この山のバラエティーの一つには違いない。

河村城址の山上史跡

 ここまで来たらせっかくだから、日本の滝百選で、3段合計落差100mを超す洒水の滝まで足を延ばしてみるとよい。一昨年竣工の観瀑台があり、ここの長大な階段は本日ナンバーワンの頑張りどころ、それに応える眺めが期待できる。

 最後のお楽しみが山北駅界隈だ。リーズナブルな町営の入浴施設「さくらの湯」があり、また駅前には個性的な飲食店が多く、夫々に楽しめる。さびれつつあるとはいえ、街並みの佇まいに、鉄道全盛期の殷賑が感じられることだろう。

◆おすすめコース
山北駅─河村城址─洒水の滝─山北駅(1時間半:初級向け)
※桜シーズンは、さすがに駅周辺の飲食店は超満員となる。それ以外は静か。
◆参考地図・ガイド ◎山北町観光協会のホームページから河村城址・洒水の滝のマップをダウンロード